暗号解読

GW第一弾

めっちゃ面白い。
「暗号」というものすごく扱いづらく難しいものをよくぞここまでわかりやすくかけるものだ。かと言って暗号技術をメインに書いているわけではなく、あくまで「人間」を中心に書いている。


大きくは対象鍵→非対称鍵→量子暗号。暗号作成者と暗号解読者の終わりなき戦い。
カエサル暗号(単アルファベット換字式暗号)が頻度分析によって破られる。
・ヴィジュネル暗号(多アルファベット換字式暗号)が周期性と頻度分析によって破られる。
・ワンタイムパッド暗号(ランダムの多アルファベット換字式暗号)は破られないが、実用的でなかった(鍵配送問題)
エニグマが"クリブ"(カンペ)とチューリングのマシンによる機械シミュレーションによって破られる。→チューリング天才...スクランブラーとプラグボードの分離。プラグボード無効化は神!
(その前提には、暗号機が暗号解読者の手元にあることがある。)
(エニグマは、結局は多アルファベット換字式暗号。スクランブラー(多アルファベット換字式暗号)×プラグボード(単アルファベット換字式暗号)を機械で実現。)
・ちょっと番外編の古代文字解読。古代エジプトヒエログリフ解読。表音や格の分析によって解読。
・そして公開鍵。一方向関数の素数。非対称暗号の出現。PGPによる一般Peopleへの普及。現在使われている暗号で、短い時間での解読は不可能。素因数分解は手間がかかるのだ。
・さらに量子暗号。絶対に解読されない暗号。ゲーデル不完全性定理が保証する。実用化はまだ。

時代を経る中で主役が変わった。
言語学者から数学者へ。
そして物理学者へ。

登場する場所が変わった。
宗教、軍事、そしてプライバシーへ。
「国と国」から「個人と個人」へ。


暗号ひとつひとつを見ても、エニグマ暗号とか、公開鍵暗号、量子暗号とかが本当にわかりやすく書いてある。しかもちゃんとした科学として書いてある。
ファインマンは、ある数学の教科書で「ジョンは星を見に行きました。赤い星(4000度)を1つと青い星(10000度)を1つみました。見た星を合計すると何度になりますか?」というのを見て、科学への冒涜と激怒したそうな。ファインマンさんも怒らないでしょう。

ほんとうに面白い。
絶対に読むべき。